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歌仙「美しい日本」の巻 [一夜庵連句会]

歌仙「美しい日本」の巻

起首 平成二十年二月 一日
満尾 平成二十年二月十五日

春は花夏ほととぎす
秋は月冬雪さえてすずしかりけり〈道元〉

発句  雪さえて美しい日本雪月花    不遜 冬
脇     いざ如月は道元の旅     宣長 冬
第三  ひたすらに悟りの竹の声聞かん   不 雑
四     迷悟を越えて逝く谷の水    宣 雑
五   天の原桂男が座禅する       不 秋 月
六     赤のまんまの野に葬れり    宣 秋 

一   催馬楽の遊びせんとや女郎花    不 秋                
二     紅葉散りつつ海も暮れ来る   不 秋
三   只管打坐人恋しきをいかんせん   宣 雑 恋
四     発心の日の紅入り友禅     宣 雑 恋
五   鬱々と辺り一面寂しげに      不 雑 恋
六     繰り返し見るかのひとの文   不 雑 恋 
七   夏安居の果てし名残の裾払う    宣 夏
八      掬う水面の清涼の月     宣 夏 月
九   幻聴か慈円の歌の峰の松風     不 雑
十      よろぼひ行けば里の犬寄る  不 雑
十一  西行の歌碑ふところに花吹雪    宣 春 花
十二     渓の奥より鶯の声      宣 春
ナオ
一   飄々と天上大風山笑ふ       不 春
二      あかあかやあか明恵の寝言  不 雑
三   掃き清めこの石段はわが石段    宣 雑
四      心一つを持て余す君     宣 雑 恋
五   かきやりしその黒髪がやきついて  不 雑 恋
六      思ひあまりて冥界に消ゆ   不 雑 恋
七   過ちはふたたびはせじ冬の虹    宣 冬
八      禁じられたる焚火そとする  宣 冬
九   蒼い海緑の大地輝いて       不 雑
十      こちらはアポロ飛行順調   不 雑
十一  東海の小島の磯の蟹と月      宣 秋 月
十二     里神楽待つ山深き院     宣 秋
ナウ
一   讃岐から紅葉の便りチラホラと   不 秋
二      北前船で渡りし大地     宣 雑
三   犬までもサミット近しテロ訓練   不 雑
四      風見鶏佇つうまし国大和   宣 雑 
五   鼻チント一花ツマミテ冷(スズ)シカリ不 春 花
六      野越え山越え風船の旅       宣 春

(留め書き)

本巻歌仙「美しい日本」と言えば川端康成の記念講演」から古典の伝統美が連想されます。素材として雪月花、人としては道元・慈円・西行などを詠みこむことに志し、新たなる境地に踏み込むことができたように思います。道元研究学者として郷土の先輩秋山範二先生(中村元先生と同列)を調べ読みできなかったのは、私的に心残りです。途中寄り道していろんなことを教えられました。(宣長)


道元禅師の「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」に、やや気負い気味であったが、そのゴール地点の、「鼻チント一花ツマミテ冷(スズ)シカリ」を得て、これが、「吾ガ地」かと、これが、禅師の吾への教えなのかと、そんなことを思いつつ、「独語独笑」をした次第である。(不遜)


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