平成万葉歌仙「大伴家持・新しき年」の巻 [平成万葉歌仙]
平成万葉歌仙「大伴家持・新しき年」の巻
起首 平成二十年二月十九日
満尾 平成二十年三月 一日
新しき年の初めの初春の
けふ降る雪のいや重け吉事(大伴家持)
発句 新しき年の初めの深雪かな 宣長 新年
脇 穂俵飾るいやしけ吉言 不遜 新年
第三 奉る貢の船は水脈引きて 宣 雑
四 たらちねの母何処におわす 不 雑
五 朗唱の越中の月諸人に 宣 秋 月
六 布施の水海秋風強し 不 秋
ウ
一 雲隠り早稲田雁がね人残す 宣 秋
二 酌み交わしたり黒酒白酒を 宣 雑
三 君が名立てば耳をそばたて 不 雑 恋
四 夕さらば来よ手にも触れたし 不 雑 恋
五 一重帯三重帯にまで恋痩せて 宣 雑 恋
六 人目繁くて面影にのみ 宣 雑 恋
七 青丹よし奈良山過ぎて夏の月 不 夏 月
八 来し日の極み風死す如し 不 夏
九 剣太刀身に佩きいざや立ち出でむ 宣 雑
十 八峰を越えて父母の声 宣 雑
十一 天ざかる鄙野に咲ける花に酔ふ 不 春 花
十二 いや時じくに弥生万葉 不 春
ナオ
一 夕影に鶯鳴けばうらかなし 宣 春
二 母植えし木を懐かしむ父 宣 雑
三 うらうらに故郷の山は変わらざる 不 雑
四 五十笹(いささ)群竹風の音する 不 雑
五 残り雪山橘の実の赤さ 宣 冬
六 寒風の中急げる駅馬 宣 冬
七 ぬば玉の作夜(きそ)の仕草を想い出し 不 雑 恋
八 言出(ことで)しは誰その名知らずや 不 雑 恋
九 惚れ惚れと己が眉掻く片恋嬬 不 雑 恋
十 七夕の夜は雲隠れ月 宣 秋 月
十一 山柿の門に入らず一礼す 不 秋
十二 秋野の茂み時の盛りを 不 秋
ナウ
一 かなかなと鳴く鳥もあり旅人の子 宣 秋
二 文の家持霧の多賀城 不 秋
三 憂愁の面描かんと絵筆持つ 宣 雑
四 謎はロマンか謎の謎美(は)し 不 雑
五 万葉を花園として燿う歌 宣 春 花
六 家と剣と持して強東風 不 春
(留め書き)
☆平成万葉歌仙のスタートは大伴家持であった(発句・宣長)。巻き終わって、剣持雅澄さんを始め多くの家持ファンに接することができた。そして、遙か悠久の万葉ロマンの一端に触れることができたのは望外の喜び。家持などに接すると、「家持」・「剣持」とを掛けての挙句などは、実に、小賢しく思えるけれども、これまた、「一興」と、腹をくくるほか術はない。(不)
☆万葉を特別に配慮して頂き、家持・憶良・人麿・赤人とシリーズものにしていただけそうな不遜師の捌であります。ここでは、もう何をか言わんや、であります。折節、道々において懇切丁寧に示唆していただいたものが貴重なものです。
家持は季節で言えば「春の詩人」でありましょうが、次の憶良は「無季の詩人」と言えるのではないでしょうか。ここに旅人が加わり、筑紫歌壇になりますと、季節詩としての歌仙も展開し易くなるかと思います。しかし、今暫く猶予をいただき、頭に来るものを案じてみないと、今回は即座に巻き始めるには、ためらいがあります。少々時間を頂きたいと思います。(宣)
起首 平成二十年二月十九日
満尾 平成二十年三月 一日
新しき年の初めの初春の
けふ降る雪のいや重け吉事(大伴家持)
発句 新しき年の初めの深雪かな 宣長 新年
脇 穂俵飾るいやしけ吉言 不遜 新年
第三 奉る貢の船は水脈引きて 宣 雑
四 たらちねの母何処におわす 不 雑
五 朗唱の越中の月諸人に 宣 秋 月
六 布施の水海秋風強し 不 秋
ウ
一 雲隠り早稲田雁がね人残す 宣 秋
二 酌み交わしたり黒酒白酒を 宣 雑
三 君が名立てば耳をそばたて 不 雑 恋
四 夕さらば来よ手にも触れたし 不 雑 恋
五 一重帯三重帯にまで恋痩せて 宣 雑 恋
六 人目繁くて面影にのみ 宣 雑 恋
七 青丹よし奈良山過ぎて夏の月 不 夏 月
八 来し日の極み風死す如し 不 夏
九 剣太刀身に佩きいざや立ち出でむ 宣 雑
十 八峰を越えて父母の声 宣 雑
十一 天ざかる鄙野に咲ける花に酔ふ 不 春 花
十二 いや時じくに弥生万葉 不 春
ナオ
一 夕影に鶯鳴けばうらかなし 宣 春
二 母植えし木を懐かしむ父 宣 雑
三 うらうらに故郷の山は変わらざる 不 雑
四 五十笹(いささ)群竹風の音する 不 雑
五 残り雪山橘の実の赤さ 宣 冬
六 寒風の中急げる駅馬 宣 冬
七 ぬば玉の作夜(きそ)の仕草を想い出し 不 雑 恋
八 言出(ことで)しは誰その名知らずや 不 雑 恋
九 惚れ惚れと己が眉掻く片恋嬬 不 雑 恋
十 七夕の夜は雲隠れ月 宣 秋 月
十一 山柿の門に入らず一礼す 不 秋
十二 秋野の茂み時の盛りを 不 秋
ナウ
一 かなかなと鳴く鳥もあり旅人の子 宣 秋
二 文の家持霧の多賀城 不 秋
三 憂愁の面描かんと絵筆持つ 宣 雑
四 謎はロマンか謎の謎美(は)し 不 雑
五 万葉を花園として燿う歌 宣 春 花
六 家と剣と持して強東風 不 春
(留め書き)
☆平成万葉歌仙のスタートは大伴家持であった(発句・宣長)。巻き終わって、剣持雅澄さんを始め多くの家持ファンに接することができた。そして、遙か悠久の万葉ロマンの一端に触れることができたのは望外の喜び。家持などに接すると、「家持」・「剣持」とを掛けての挙句などは、実に、小賢しく思えるけれども、これまた、「一興」と、腹をくくるほか術はない。(不)
☆万葉を特別に配慮して頂き、家持・憶良・人麿・赤人とシリーズものにしていただけそうな不遜師の捌であります。ここでは、もう何をか言わんや、であります。折節、道々において懇切丁寧に示唆していただいたものが貴重なものです。
家持は季節で言えば「春の詩人」でありましょうが、次の憶良は「無季の詩人」と言えるのではないでしょうか。ここに旅人が加わり、筑紫歌壇になりますと、季節詩としての歌仙も展開し易くなるかと思います。しかし、今暫く猶予をいただき、頭に来るものを案じてみないと、今回は即座に巻き始めるには、ためらいがあります。少々時間を頂きたいと思います。(宣)
2008-03-04 08:27
nice!(0)
トラックバック(0)